ナツヅタ
ナツヅタは古くから一般になじみのあるツル植物の一種である。
ブドウ科の木本性落葉ツル性植物のナツヅタは、コンクリート塀やブロック塀などの他に、建物の外壁などに吸着している例は多く、ツタにおおわれた古い洋館のイメージは、「怪人20面相」などの昔の探偵小説の舞台となっていたことを思い出す。
ナツヅタは巻きひげの先端にある吸盤によって塀や壁面に吸着するが、成長はきわめて早く、早期に緑化するのには最も適している。植栽分布は北海道まで可能で、使用例も多い。
塀に吸着したナツヅタは、若葉の頃の淡緑色や、猛々しいまでに大きく緑濃い盛夏の候、そして晩秋の真紅に紅葉した時など、季節によっても色彩を鮮やかに変えるところにその魅力がある。成長が早いため、ある程度長さのある塀に利用したい。伸びすぎたツルは、5〜6月頃に切りつめ、他の樹木や門扉などに絡まないようにする。
落葉した後は、塀に吸着したツルがそのまま見える状態となり、景観的にはあまりきれいとはいえない。どうしても気になる場合には、常緑のヒメイタビカズラなどと併用するのも一手法である。 |